収入が多くても少なくても、みんながお互いさまで支えあう「All for All」

民進党の「尊厳ある生活保障総合調査会」のアドバイザーをしていただいておりますのは、慶應義塾大学経済学部の井手英策先生です。民進党の結党宣言にある「自由、共生、未来への責任」のなかでも特に「共生」に関する考え方のアドバイスをしていただくお立場になります。民進党はこの共生を英語では「All for All」と表現しています。「みんながお互いさまで支え合う」という意味です。

民主党政権時に公立高校の授業料無償化が法制化されました。これには所得制限はなく、裕福な家庭もそうでないところも受ける恩恵は同じです。自民党は憲法9条を変える交換条件的に、最近になって憲法に教育の無償化を書き込むと言っていますが、公立高校の授業料無償化法案が通過するときには「バラマキだ~」とプラカードをもって大反対していた党こそが自民党であることを、覚えておられる方々も多いかと思います。

公立高校授業料の無償化により、経済的理由で学業を断念せざるを得ない子供たちが半減しました。それはいいが、なんで高額所得者までも無償化にするのか?ほぼ同じ時期に導入された子供手当なども、なんで所得制限なく支給するのか?という批判はありました。しかしここは、政策の重要なコンセプトであって「子供は社会全体で育てる」ということなのです。そして、その社会というのは我々一人一人であり、その一人一人の国民の負担であるのです。だからこそAll for Allつまり「みんながお互いさまで支え合う」なのです。

井手先生が分かりやすく説明されておられる計算ですが、2,000万円の年収の人と200万円の年収の人がいて、それぞれが20%納税をすると納税額の合計は440万円(2,000万円×20%+200万×20%)になり、それぞれの手取りは1,600万円と160万円になります。その後に、教育費の無償化などの社会保障が所得補償なく同じように200万円ずつ分配されるとすると、1800万円(1600万円+200万円)と360万円(160万円+200万円)となり、結果として格差は5倍に縮まるわけです。

つまりAll for Allというのは、所得の高低に関わらず、全員が能力に応じて一定割合を負担して、全員が一定の便益を享受できる社会、それでいて格差も縮小する社会ということです。富裕層や中間層だけが負担して所得の少ない層だけが便益を享受できる仕組みでは、ここのところ軋轢が生まれています。それが表出しているのが、弱者バッシングではないでしょうか?生活保護の例を挙げますと、不正受給者というのは0.4~0.5%とのことですがもっと多いイメージをもたれており、やむを得ず受給されている方々も冷たい目で見られてしまう。そのため、生活保護を得られる立場でも屈辱感ゆえに受けていない人が多くいます。保護を受ける人が屈辱を味わったり、保護の分を納税する人達が不満を持ってしまったりする制度では機能しているとは言えません。

軋轢が生まれる理由は、所得の高にかかわらず、多くの方々が将来不安をもっていることではないでしょうか?ある程度の収入のある人、上場企業に勤めておられる方や自営業や会社経営でそれなりの成果を収めておられる方でも、将来不安の声を聞くことがあります。年金など、将来どうなるか分からない中、納税に対する不満や、その納税されたお金の配分が一部に偏ることに対する不満として表れているのではないかと考えられます。緩和策として、全員が能力に応じて一定割合を負担する一方で、享受できるのも全員という仕組みが必要ではないのか?ということです。

今の世の中、凄まじいスピードで動いています。世界の亀山と言われ、工場がブランド名までになっていたシャープが今や外資系企業。東芝もウエスチンハウスで大きな損失を出しました。経営者の方の良かれと思った判断が、大きく会社の盛衰にまで影響する時代です。現在それなりの生活をしている中間層の方でも不安を持つのは無理もありません。これらに対応する施策として、民進党は環境変化の中でも自己変革が可能なように、大人に対しても投資をする「人への投資」を訴えています。これまでもブログをご覧ください。

格差是正にも経済政策としても有効な「人への投資」

日本は資源国である

そして、それを支える社会保障政策として「みんながお互いさまで支え合うAll for All」という尊厳ある社会保障の仕組みが必要だと考えます。

村上のりあつ【衆議院】大阪府第1区総支部長
大阪生まれ、大阪育ち。 同志社大学卒業後は主に東京で仕事をし、アメリカのイェール大学では経営学を学びました。 コンサルティング会社、グローバル企業であるロイター通信やフォード自動車等では人事の責任者として経験を積み、長年ビジネススクールの講師も務めております。 グローバルと日本の両方の経験を、是非とも大阪の皆さんとともに国政に活かしたい、その思いでいっぱいです。

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