国民の恐怖心を煽って通そうとしている共謀罪

国会で紛糾している共謀罪、テロ防止のため必要な法律だということです。多くの論客がこの法律には言及していますが、私は「国民を欺いている」という観点でこの法案の問題点を指摘します。

国民を欺く①: 共謀罪なしでは締結できないという国際組織犯罪防止条約はテロとは関係ない条約

政府は「国際組織犯罪防止条約を締結するために共謀罪が必要だ、これなしにはオリンピックやパラリンピックが開催できない」主張しています。しかし、この条約は、マネーロンダリングや汚職などの経済犯罪を対象にしているもので、テロとは関係のないもの。条約事務局も明言しています。国際組織犯罪という名前が付いていると、国民は勘違いしてテロと結びつけてくれて法案に賛同してくれるとでも思っているのでしょうか?とんでもない話です。

国民を欺く②: 国際組織犯罪防止条約は現行法下ですぐに締結できる

更に、この国際組織犯罪防止条約、現行法ですぐにでも締結できます。この条約は批准に際して審査のあるものではなく、申請すれば締結できる。そして、その後に国内法に不備があれば順次法整備をしていけばいいものです。すぐにでも締結できる条約にもかかわらずできないという、これもまたとんでもない話です。

国民を欺く③: 一般人は対象にならない、監視社会にならないというウソの答弁

一般人は対象にならない、と言っているが、追及していくと非常に曖昧。お花見にお酒と食事をもって行くと問題ないが、双眼鏡があると犯罪の下見となるのか?そもそも、花見の集まりを捜査対象になる可能性があるというのは、内通や何らかの理由で警察が目を付けるといった監視社会であるということ。こんなことが横行すると、気に入らない人を内通することによる冤罪事件が増える危険があります。また、自然環境保護団体や基地建設反対の市民団体が対象にされ、その活動を委縮させるでしょう。

要するに、一般人とはなにか?という基準の曖昧さゆえに、捜査する方がその裁量で監視を強め、一般人同士も内通の疑心暗鬼に陥る監視社会に繋がります。捜査機関を性悪説で論じたいわけではありません。これまでの違法捜査が合法的に行われていくリスクが高まるということです。大臣が的確な答弁もせず、大丈夫とだけ言うのは国民を欺いていると言わなければならないでしょう。

テロを防ぐための強化策は民進党が提案している

テロは未然に防がなければならない。当然です。日本は既に13のテロ防止関連条約を締結しています。さらに強化するにしても、テロと関係ない条約の締結をしても意味ありません。そもそもテロは一人でも行えます。共謀罪のように、二人以上で共謀しないといけない法律こそ抜け穴だらけです。

更なるテロ対策とすれば、例えば、民進党がハイジャック防止のために国会に提出している「航空保安法案」です。現在では出入国の際の荷物や体の検査は各航空会社が行っていますが、専門性と経験がものをいうお仕事にも関わらず、勤務の過酷さからか離職率も相当高いようです。島国である日本は水際での対策が功を奏しやすいですから、こういう分野こそ、働く人たちの処遇を含めて国でしっかり管理すべきです。安倍政権は、こういった法案の審議をしようとはしていません。

国際組織犯罪防止条約にある組織的詐欺、組織的人身売買対策が必要だというのであれば、この二つに個別に予備罪を設ければいいのです。国民を処罰しやすくする法律は、できるだけ少なくしていくというのは、憲法の基本的人権の尊重からしても重要なスタンスでしょう。防犯と人権のバランスを考えるのは政治の責任です。

安倍政権は国民に不安を煽り、監視社会を築こうとしている

この一連の欺きをみると、安倍政権は、テロの恐怖で国民の不安を煽り、国民監視を強める法案を通そうとしているということです。国民の不安を煽るためオリンピックやパラリンピックまで人質にしている、とんでもない話です。ヒットラーの右腕だったヘルマン・ゲーリングが言っていた恐ろしい言葉があります。「もともと普通の人々は戦争をしたいと思っていない。しかし国の政策を決めるのは、その国のリーダーたちである。民主主義であろうと、ファシズムの独裁であろうと、共産主義であろうとそれは同じだ。『自分たちの国が外国から攻撃されている』と説明すればいい。そして『平和主義者は愛国心のない、国家を危険にさらす人々だ』と訴えさえすればいい。この方法はすべての国で同じように効果的である」というものです。

テロとは関係ない、そしてすぐにでも批准できる国際組織犯罪防止条約にもかかわらず、共謀罪が必要と言ってみたり、この条約に批准しなければオリンピックやパラリンピックが開催できないと恐怖心を煽ってみたり、一般人に刃を向く法律の仕組みであるのに一般人は対象にならないと言ってみたり、監視社会になる仕組みがあるのに監視社会にならないと言ってみたり。そもそもリオデジャネイロオリンピックでは、安倍晋三マリオ首相は「日本は世界一安全」と言ったのではなかったのでしょうか?国民に真実を伝えないで恐怖を煽り共謀罪のような法案を通そうとするのは、絶対阻止しなければなりません。

村上のりあつ【衆議院】大阪府第1区総支部長
大阪生まれ、大阪育ち。 同志社大学卒業後は主に東京で仕事をし、アメリカのイェール大学では経営学を学びました。 コンサルティング会社、グローバル企業であるロイター通信やフォード自動車等では人事の責任者として経験を積み、長年ビジネススクールの講師も務めております。 グローバルと日本の両方の経験を、是非とも大阪の皆さんとともに国政に活かしたい、その思いでいっぱいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です