報道の自由とフェイクニュース

先日、東京で参加した報道の自由に関するパネルディスカションに参加したことをFacebookに書かせてもらいました。テンプル大学日本校の主催で、タイトルが「Press freedom in contemporary Japan」というものでした。今の日本における報道の自由というタイトルです。

5名のパネリストの先生方の話の後、質問時間が設けられており10名以上の方が私見を述べたり、質問をしたりという時間が設けられていました。ジャーナリズムに携わる方とともに、我々報道を受ける方の言論の自由に対する意識の重要性が語られました。

委縮効果が自由度を脅かす

国境なき記者団がほぼ毎年報告している報道の自由度ランキングによると、2016年では日本は180ヵ国のなかで72位となっており問題ありの状態です。本当にそんなに低いの?という印象もさすがにもちます。言論弾圧がニュースになった香港より低い順位というのはどうしてなのか?ロシアやなんかではジャーナリストが身の危険を感じる状態ですが、日本はさすがにそこまではないではないか、と。

しかしながら、安倍政権下では自民党の国会議員が「経団連に働きかけて、広告を出さないようにしてマスコミを懲らしめるべき」といったような発言があるなど、以前に比べてジャーナリストとしては不自由さを感じてきている傾向はあるのではないか。特定機密保護法しかり、いま審議が始まっている共謀罪など、報道の自由を委縮させる法律などが拍車をかけているといえるでしょう。

パネリストの方々は日本通の先生方ですので、忖度(そんたく)ということばも使っておられました。上司が目配せして「みなまで言わすな」つまり、全部言わせるな、くみ取れ!という雰囲気。先程の広告を出すな、といったような言論の弾圧なら目立つし、抗議もしやすくなりますが、忖度のようなものが続くと、見えないところで言論の自由が脅かされるということになります。

フェイクニュース放置による問題

これは私が質問した内容でもあるのですが「フェイク(嘘の)ニュース」の放置です。つまり、でたらめなニュースが世に蔓延し、それが言論の自由をゆがめることがある。言論の自由が保障されている以上、権力が事前にフェイクかどうかなどを取り締まることは問題がある。しかし、蔓延すると混乱して真実が見えなくなるという大きなリスクがあるということです。

一例をあげると、民進党の辻元清美衆議院議員が幼稚園に侵入したとか、知人を建設会社に送り込んだとか、そんな話が大手新聞社から出されました。これらはすべてデマだったわけですが、裏付けが取られるまで時間を要しました。同じころ、安倍首相夫人の昭恵さんが、籠池氏とお金のやり取りがなかったという話でもめており「やっていないことを証明するのは悪魔の証明で難しい」と安倍首相は言い「これは辻本議員にも言えるのでは?」と世論が混乱しました。

そもそも出所も分からず裏を取る前の情報と、国会での証人喚問で偽証罪リスクを冒して証言されたことを同列視すること自体がおかしいのですが、このようなデマでも世論を混乱させることは可能ということです。

これまでのブログにも書かせてもらっていますが、民進党は対案がないとか、反対のための反対しかしていない、とかといった話もフェイクニュースの一つだと考えます。実際、第192国会(昨年の秋の臨時国会)では民進党が反対した法案は4つで、賛成したものは20本です。さらに、継続法案も含め政府提出法案数の30本に比べて、民進党が提出した法案は57本もあります。

ジャーナリストと報道を受ける国民双方の努力が必要

アメリカでもトランプ大統領の質問拒否などがあり、世界的にも報道の自由度の低下が懸念されています。日本における問題としてある委縮や忖度に関する点は、ジャーナリストの方々が主にしっかりと対応していかなければならない課題といえるでしょう。そしてフェイクニュースに関しては、報道を受ける側の我々がしっかりとその真相を見ていくための不断の努力を要求されているということなのだと考えます。

村上のりあつ【衆議院】大阪府第1区総支部長
大阪生まれ、大阪育ち。 同志社大学卒業後は主に東京で仕事をし、アメリカのイェール大学では経営学を学びました。 コンサルティング会社、グローバル企業であるロイター通信やフォード自動車等では人事の責任者として経験を積み、長年ビジネススクールの講師も務めております。 グローバルと日本の両方の経験を、是非とも大阪の皆さんとともに国政に活かしたい、その思いでいっぱいです。

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