大目に見ない法律の厳格適用の方が、国民にとってはいいのかも!?

アメリカの三権分立の強さ

アメリカ大統領のトランプ氏が3月6日に出した、新しい入国禁止の大統領令も執行停止になりました。信仰による差別を禁止する合衆国憲法に反するということです。その前、1月27日にトランプ大統領が署名していた大統領令も執行停止になっており、3月6日の大統領令はそれを少し緩めたにも関わらず改めて執行停止。

どちらも最高裁の判断が出ていないので、アメリカ合衆国としての判断ではないですが、この一連の流れをみて本当にアメリカの三権分立の強さを感じます。ダメなものはダメ、それをよくしたいのであれば法律を変えなさい。トランプ氏の大統領令でいえば、憲法を変えなさい、ということでしょう。日本の場合はどうかというと、現状の安全保障環境に合ってきていないといって、2015年には自民党が招致した参考人でさえ憲法違反といった法律が通ってしまいました。大きな違いです。

日本の風営法とダンスクラブ

今日はもっと卑近な例で行政と司法そして立法の話を考えたいと思います。日本には、現状に合わない法律は行政がお目こぼしをしたりして、その裁量の中で運用していく風潮があるのではないかと感じています。卑近な例でいえば、風営法。簡単にいえば、夜中の遅い時間にダンスクラブを営業してはならない、という法律がありました。日本が敗戦した直後には、ダンスクラブは売春の温床になってしまったため、それを取り締まるためにできた法律とのことです。

深夜0時になると営業を終了しなければならない。ところが、大阪、東京、名古屋なんかでいうと、朝までやっていた頃もあれば、取り締まりが厳しくなり1時くらいまでしか大目に見られなくなった時期。また、繁盛店がやたら目をつけられたこともあったとか。警察も通報があれば動かざるをえないのかも知れません。同じ時期、深夜2時には終えるということで統一されたりしている大都市もありました。都道府県による違いって、これはもちろん日本の法律ですので、都道府県や市によって異なるはずがありません。

要するに、警察も場所により取り締まりの強弱が変わっていたということでしょうか?私は詳細を知りうる立場にないのでいい加減なことは言えませんが、実際に、都道府県やその時期によって取り締まりの強弱があったことは事実のようです。

もし、法律に準じて運用すれば深夜0時で営業をやめなければいけないのであれば、その通り取り締まるべきだと私は思います。そうなると、特に東京、大阪、名古屋などの大都市で深夜0時にダンスクラブが閉店となったら「これはおかしい!」という声が噴出してくるはずです。

実際問題として、厳しい取り締まりが行われたためダンス議連が超党派で出来上がり風営法改正案が提出されました。一度は自民党の保守層の反対で潰れましたが。並行して大阪では風営法で取り締まられたダンスクラブの経営者が最高裁まで争い、クラブ経営者の方が無罪(この時は、性風俗を乱すおそれがある享楽的なダンスは行われていなかった、という判断)を勝ち取られました。この判決が新たなきっかけとなり法改正となり、ついに2016年の6月23日に改正風営法が施行されました。

法律の粛々と適用される方が国民にとって良い!?

このような手続きが正しい流れだと思います。ダメなものはダメ、という司法判断は融通の利かない堅苦しさを感じますが、法律を変える立法権限は国民が選んだ議員がもっている訳ですから、ダメなら法律を変えようと真剣な議論になるから結果的には良いのだと思います。それを行政が現状に合わせて裁量でお目こぼししたり、急に取り締まりが厳しくなったりとしていると我々国民も分からないうちにさじ加減で管理されてしまい、気が付くと行政による管理強化という大きな問題を引きおこしてしまうことになります。

普段は放置しておいて、いざというときには法律を立てに取り締まりを強めて管理強化する。こういった社会にならないようにするためにも、法律を常に監視していく風潮が必要かと思うと同時に、現行法での取り締まりをしっかりと行うことも気付くという観点で重要ではないかと思う次第です。

村上のりあつ【衆議院】大阪府第1区総支部長
大阪生まれ、大阪育ち。 同志社大学卒業後は主に東京で仕事をし、アメリカのイェール大学では経営学を学びました。 コンサルティング会社、グローバル企業であるロイター通信やフォード自動車等では人事の責任者として経験を積み、長年ビジネススクールの講師も務めております。 グローバルと日本の両方の経験を、是非とも大阪の皆さんとともに国政に活かしたい、その思いでいっぱいです。

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