家族主義的な会社風土という日本的労働慣行は、働く人たちにとってマイナス!?

先日のブログで、ヤマト運輸さんが労使で話し合われてネット通販のAmazonさんの扱い量を減らす方向で話が進んでいるということについて、書かせていただきました。

http://nori-murakami.jp/blog/?p=235

そしたら今度は、労働基準監督署の指導が入ったこともあり、過去2年間の未払い時間外手当の調査を実施して、多い方でしたら100万円を超える未払いが支払われるとか…

前のブログでは、ヤマト運輸さんがAmazonさんの扱いを減らすのは、Amazonさんが悪いのではなく、ヤマト運輸さんが悪いのでもなく、働く人でもなく、消費者も悪くない、と書きましたが、時間外手当の未払ということであれば、これは会社に問題があります。きちんと調査をして未払い分は支払わなければなりません。

なぜ安い仕事を受けるのか?

ここで私が問題だと思うのは、価格が割に合わず社員に過酷な労働を強いるのであれば、そんな仕事はなぜ最初から断らないのでしょうか?ということです。当初は不採算が読み切れず後で発覚したら、佐川急便さんのようにすばやく契約を打ち切ればいいのです。佐川急便さんはAmazonさんの荷物を受けないことにして、その分、ヤマト運輸さんの方に仕事が来たのですが、それが手に負えなかったというわけです。にもかかわらず、大手のヤマト運輸さんとあろうものが、なぜ時間外手当を払わず、自社の社員を疲弊させてまで割の合わない仕事を受け続けたのか?です。

当日配達や翌日配達などのサービスは便利ですが、扱い荷物の量が多いため依頼するネット通販会社はサービスを買い叩こうとする。それで受けた会社は、何とか効率を上げようとしてもうまく行かず、結局働く人たちに過酷な労働として課されるという現実。

家族主義的な日本的労働慣行は、働く者にとってマイナスでは?

なぜ、安い仕事は受けない、というごくごく当たりまえの市場原理がうまく働かないのか?私見ですが、日本の企業社会は、苦しい時は労働者にしわ寄せする風土が根強く残っているということなんだと思います。最近は相当変わってきているとは言うものの、会社は家のようなもの「家族主義」で、ロイヤルティーを持つことが美徳とされる。職業はお金のためではなく、自らを高めるものである。「お金のことをいうのは下品だ」ぐらいの勢いです。日本人の勤勉さは誇れるものですが、ちょっと考えれば「そんな仕事を受けるなよ」と会社に言うべきだし、受けるにしてももっと高い金額で受けてくれ、と言うべきです。

こういった日本独特の企業風土というか慣行が働く人たちにしわ寄せがいく、という作用に拍車がかかっている気がしています。時間外を支払っていなかったため、労働基準監督署に指導を受けた、というのはニュースになるべきですが、この記事にあるように、ヤマト運輸さんが採算の合わないビジネスであるネット通販さんの仕事を断った、というようなことがニュースになること自体がおかしのです。安い仕事は受けない、という単なる至極当たり前の経営判断です。

こういった当たり前の経営判断がニュースになるほど、日本の企業文化というのは市場原理で動かなくなっているということなんでしょう。市場原理主義も問題はありますが、家族主義的な日本的労働慣行というのも、働く人たちにとって良くない側面をもっていることを認識する必要があると思います。

村上のりあつ【衆議院】大阪府第1区総支部長
大阪生まれ、大阪育ち。 同志社大学卒業後は主に東京で仕事をし、アメリカのイェール大学では経営学を学びました。 コンサルティング会社、グローバル企業であるロイター通信やフォード自動車等では人事の責任者として経験を積み、長年ビジネススクールの講師も務めております。 グローバルと日本の両方の経験を、是非とも大阪の皆さんとともに国政に活かしたい、その思いでいっぱいです。

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