結果主義とプロセス主義、働く人にはどっちがいい?

保険会社の友達がいまして、前日のプレゼンテーションのところでコメントをくれました。今日は、著書にも触れさせてもらっている内容ですが、保険会社の例を挙げながら成果主義のことについて書きたいと思います。

過度な成果主義は働く人たちを疲弊させる、ということはよく聞きます。成果主義とは、結果に至る過程を評価するのではなく、いわゆる結果主義で、プロセスを頑張ったからといっても結果が出なければ評価されないという意味でしょう。以降、ここでいう成果主義を結果主義と言い換えます。

行き過ぎたもの、営業であればやり方のアドバイスや指導なしに、つまりプロセスのサポートもろくになしに結果を求められても、働く人たちからすれば難しいものがあります。結果主義で追いつめられる人たちもいらっしゃるでしょう。ですから、過度な結果主義は働く人たちを疲弊させるのはその通りだと思います。また、経営的にも、働く人たちを疲弊させる過度な結果主義は会社としてもいい業績に繋がらず、好ましいものではないと思います。

一方で、サラリーマンの人たちに色々聞くと「自分はこれだけ頑張って結果を出しているのに、そうでない人たちとほとんど処遇に差がない」というぼやきもよく聞きます。こういう話は私もそうですが、手前味噌でやや自意識過剰的なボヤキが多そうです。ボヤキの話はさておき、結果主義の話はよくよく見るとそのポイントというのは業界によって異なるということです。

例えば、鉄道会社で働いておられる方に結果主義なんていうのはあり得ない話だと思います。結果を気にするというよりも、ルールを守り決められた手順、プロセスに沿って仕事を進めたかどうか、ということが評価されるべきです。ある意味、これが結果です。創意工夫だといって、勝手なことをしてしまうと取り返しのつかないことになります。

一方で、保険会社はどうでしょうか?営業活動の一挙手一投足をプロセス化することはできません。同じだけ顧客訪問したとしても、営業結果は異なります。相手の状況により微妙なタッチで営業トークを変える必要があり、こういった技術は研修である程度は養成できるでしょうが、鉄道会社で特に運行の仕事を担当されておられる皆さんが順守すべき手順のように、多くの人がほぼ同じことをできるわけではなく、人に依る創意工夫で、大きく結果が変わるのです。また、失敗のリスクも鉄道会社ほどは大きくはありません。したがってプロセスよりも結果で判断する方が効率的なわけです。

もちろん、ゼロイチではないので、両方の仕事共に裁量部分やプロセス順守部分もありますし、失敗のリスクも当然あります。しかしながら、鉄道会社と比較すれば保険会社の方が、裁量部分が大きく失敗リスクも小さいのではないかということです。

保険会社は、どこの会社も商品的にさほど変わらず、売り上げの高は個人の営業力に追うところが大きく、その個人成果が測りやすいのです。そして大きな違いは、保険会社に働く営業の方々は自営業者的な人たちで、自分の成果に応じて報酬が欲しいと思ってらっしゃる。ですから、ここで結果部分を少なくしてしまうと、働く人たちは会社を去って転職してしまいます。個人のネットワークで顧客を開拓し、個人の裁量で売り上げを伸ばし、その結果も測りやすく、働く人もアグレッシブにインセンティブを求めるのであれば、結果による評価・報酬を与える方が、働く人にも経営側にもメリットがあると考えるのは当然でしょう。

要するに、結果主義なのかプロセス主義なのかということは、業界や会社の特性からくる仕事の種類や人材の流動性など、様々な要素により異なってくるということです。是非、皆さんも自社や業界、そして自分の仕事の特性をみて考えてみてください。

業界や職種によるのはわかったが、では結果主義とプロセス主義、働く人たちにはどちらがいいのでしょうか?プロセス主義の方が過程を見てくれるから働く人にとってはリスクが減るという見方もあります。その一方で、過程をみるということは過程を監視されるということで、これまた堅苦しいものです。どちらがいいかというのは、これは個人の好みの問題、職業は選択できる以上、これは働く人たちが選ぶべきことなんだろうと思います。

村上のりあつ【衆議院】大阪府第1区総支部長
大阪生まれ、大阪育ち。 同志社大学卒業後は主に東京で仕事をし、アメリカのイェール大学では経営学を学びました。 コンサルティング会社、グローバル企業であるロイター通信やフォード自動車等では人事の責任者として経験を積み、長年ビジネススクールの講師も務めております。 グローバルと日本の両方の経験を、是非とも大阪の皆さんとともに国政に活かしたい、その思いでいっぱいです。

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