格差を固定化する現代版閨閥(けいばつ)主義的税制は是正すべき!

前回の明るい話から一転、再度の問題提起で失礼します。

日本が一億総中流といわれたのも懐かしいです。高度成長期からオイルショックがあった70年代、そしてバブルへと繋がる80年代まで、多くの人々が中流と意識した時代です。敗戦からの貧しい時代を考えれば、素晴らしいことでしょう。ところが今は毎日のように格差という言葉を聞きます。2000年くらいに生まれた「勝ち組、負け組」という言葉から格差社会へ。貧困率でみると1985年は10%ほどでしたが、今や16.7%もあります。なんと、6人に一人の子供たちが貧困に苦しんでいるのです。

今の日本で、こんな格差、ばかげている。アメリカのように移民の国ではないし、同じ同胞意識があるこの日本でどうしてそんなことが起こるのか?なんで普通にもっと素直に子供たちを救おうという風潮が高まらないのか?子供に自己責任だと言い放つ人もいます。

一方で、子供たちを助けてあげることに肯定的な人が多いのは救いです。お金を渡すと子供のために使われるかは変わらないので、授業料や学生服、給食のように現物支給であれば問題ない、という声もあります。これに関連して「日本人として普通に思う、子供たちへのサポート」というタイトルでブログに書かせてもらいました。

http://nori-murakami.jp/blog/?p=99

ところで、安倍政権の施策を見てみると、格差是正から逆行しています。その最たるものが孫に送る生前贈与の教育費としての非課税1,500万円。裕福なおじいちゃんとおばあちゃんがいれば、孫は良い教育を受けることができる。自分の孫に対する譲渡というのは人の気持ちとしては非常に良く分かります。しかし現代は、親から子供そして孫へと、高額な教育費が払えず教育の差による格差が拡大し連鎖していくと言われる時代です。それをわざわざ1,500万円もの高額の譲渡を非課税にする法律を新設したというのは、私はまともだとは思いません。

格差の連鎖、親や、親の親の格差が子供や孫に連鎖していく。そもそも裕福な家でしたら、子供にはそれなりの教育をしてきたはずです。年間110万円の非課税枠も既にあります。にもかかわらず、なぜ敢えてこんなことをするのか?繰り返しますが、子供や孫をもつ方々のお気持ちとしては分かりますが、政治として、格差が世代を越えて拡大していく施策は誤りだと考えます。

閨閥主義(けいばつしゅぎ)という言葉があります。古くは王家が、今は政治家やら財界人が婚姻関係を結んで、エリート層としてのネットワークを創り上げていくことです。昔でいえば、世襲をベースにした支配層の固定化に繋がっていたわけです。

今の社会はそこまではないにしろ、教育は社会で活躍するために重要なものです。にもかかわらず、この教育費に関して、世代の格差拡大の連鎖に繋がる譲渡課税の大幅減税を行うのは大きな問題だと考えます。

次のグラフを見てください。大学の授業料は凄い勢いで増えてきました。

教育費用がかさむことを放置(奨学金についてのテーマでは、追ってブログで書きます)し、さらに非課税で高額の生前贈与ができる仕組みというのは、格差を固定する現代版の閨閥主義と言っても過言ではないかと思います。安倍総理の祖父は岸総理大臣、その弟は佐藤総理大臣、お父様は安倍外務大臣と、まさしく閨閥にふさわしいご一族といえるでしょう。

2004年に放映されたマイケルムーア監督の華氏911という映画がありました。それによると、当時のアメリカでは、上下両院の国会議員のうち自分の子供を軍隊に入れているのはたった一人だけだったとか。要するに、戦争の意思決定にかかわる人たちと、戦争で身を命の危険にされされる人達が違うということです。

アメリカでは、貧しい人たちが、教育を受けられる、芸術を学んだりスポーツができたり、ということで軍隊に入る人が多いとのこと。これなどはまさしく、教育費用で格差を拡大させている最たるものです。アメリカでの貧困率は20%、日本はここまでひどい格差にはなっていないでしょうが、先進国ではアメリカに次いで2番目の悪さ。今の日本、この閨閥的格差連鎖を是正する政策が必要と考えます。

村上のりあつ【衆議院】大阪府第1区総支部長
大阪生まれ、大阪育ち。 同志社大学卒業後は主に東京で仕事をし、アメリカのイェール大学では経営学を学びました。 コンサルティング会社、グローバル企業であるロイター通信やフォード自動車等では人事の責任者として経験を積み、長年ビジネススクールの講師も務めております。 グローバルと日本の両方の経験を、是非とも大阪の皆さんとともに国政に活かしたい、その思いでいっぱいです。

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