街頭で、最低賃金を上げるのは急務であると訴えています。現在の最低賃金は和歌山県で980円ですが、先進国の相場では為替レートにも寄よりますが2,000円程度かと。自民党は1,500円まで引き上げるのは2030年代半ばとか寝ぼけたことを言ってますが、私は早急に上げるべきだと主張しています。その際、中小企業経営へのインパクトが懸念されます。
短期的な施策としては、企業規模によっては社会保険料の減免などの経過措置は必要だと思います。しかしながら、よくよく考えると、中小企業は賃金が安いというのが前提になっていて、最低賃金ぎりぎりで働いてらっしゃる方も多いのです。ここでどうすれば、中小企業でもしっかりとした給料を払える、つまり最低賃金が上がっても経営上持ちこたえられるか?要するに、価格転嫁を可能にできるかということでしょう。またしっかりと給与を支払っても、経営上困らないようにできるか?ということです。
その施策を私の経験をもとにお話ししたいと思います。これは一朝一夕で可能ではない(そもそも魔法の杖はない)のですが、経営者の方も頷いてもらえると思います。
☆取引先に対して交渉力を上げる
- 取引先の言うことは利かざるをえないというのはよく聞きます。断ると他に逃げてしまう、と。そういう場合、往々にしてあるのは、取引先が少ないとか場合によっては一社に依存している場合です。値段交渉では明らかに、足元を見られるでしょう。そうでなく複数社、できれば7社以上に顧客を分散しておれば、無体なことを言われたら断れます。
- 次に、資金繰りを調えておくことです。以前、私が父の町工場を手伝っていた時、地銀の営業の方がやってきて「そろそろ納税のシーズン。資金繰りがしんどいでしょう。融資しますよ…」と言ってきました。私は「資金繰りなんかしっかりしてますよ。ご心配なく」と答えたのですが、私にそんなことを言ってくるということは、利益が出ていても資金繰りがしんどい会社が多々あるということなんでしょう。これではいざという時の交渉力はもてません。一定程度の運転資金として用意するのは必須です。
☆多角化する
- 既存のお客さんに対しては、商品ラインアップを広げるというのがあります。また、既存商品をうまく他の業界や会社に売り込めないかを探ることも重要です
- 他社があまり参入していないニッチマーケットを見つける。自社の強みや環境を分析して、自社商品を売り込める利益率の高い市場を探すことです。
☆現行の仕組みの中で生産性向上
- IT化による生産性向上はよく言われますが、これは必須。自分は苦手だとかなんだとか言わずに、やる。生産性が上がらなければ昇給原資は出てきませんし、優秀な人材も逃げてしまいます。
- 過去の慣習を見直すことも必要です。過去の慣習で長く続いているものは、無駄があることも多いのです。一つ一つ見直すことにより、効率化が図れます。
☆プロダクトアウトの考えに加え、賢く売る方法を模索する
- 良いものを創れば売れる、という考えは製造業でまだまだ根強くあります。その匠の仕事観は素晴らしいので、否定することはありません。しかし、いいものを賢く売るという技術があれば、鬼に金棒ではないでしょうか?マーケティング力もしっかりと駆使すべきです。
ざっと上げましたが、詳細は会社の体力、顧客や競合の状況により異なりますので、もっと詰めてみる必要があります。そして、これらはご覧のように、ある程度は訓練が必要なものです。私は、こういった経営ノウハウをまじめにやっておられる経営者の方に習得してもらえるような仕組みを、国の制度として作ることが必要だと考えています。私が教鞭をとっていたビジネススクールを普及させていくことも必要でしょう。そうすれば、長期的に中小企業が弱い立場でなく、大手に対しても対峙していけるきらりと光る存在となり、社員とともに豊かになっていけるものと信じます。
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