内部留保課税は賃金を上げるインセンティブになる
大企業を中心に内部留保が爆増しており、アベノミクス以降で2倍になり現時点で約600兆円という、日本の税収の約10年分が蓄積されています。一方で、我々の実質賃金はピーク時と比較して20%減になっている。これはおかしい、という話はよくさせていただいています。解決策の一つとしては内部留保課税。内部留保に課税すると、企業に対してその分を給与などに回すインセンティブが働くので、昇給対策になるというものです。
この話をすると、内部留保課税は二重課税だからいけないとか、そんなことをすると企業が日本を出ていくキャピタルフライトが起こる、といった批判があります。
内部留保課税の問題としてよく言われるのは…
二重課税がいけない?
まず二重課税がなぜいけないのか、よく分かりません。一度税金を支払ったとしても、そのあとに課税するといけないのでしょうか?皆さんは、住民税や所得税を支払った後にも、消費税や固定資産税などを支払っています。そもそも法人税は、法人にどのような行動をとるか?ここでいえば剰余利益の使い方をどうするか?というインセンティブを与えるものです。それを活用しているだけです。二重課税の何が問題なのか、よく分かりません。
キャピタルフライトへの対応策
企業が日本を出ていく、キャピタルフライトの件はどうでしょうか?これについては、タックスヘイブンやそれに近い低税率の国々と協議する必要があります。そして、国際協調して法人税率の値引き競争をしない、ということが重要です。今の低税率の国は、産業がなく苦しいため、低税率を魅力にして企業を誘致しているということでしょう。ですから先進諸国は、産業面で苦労している国を支援し、それらの国が税率の低さで勝負するようなことをしなくてもいいようにする国際協調が必要だということです。そちらの方が、お互いにプラスになる仕組みを作るよう議論を詰めていくのが重要だということです。確かに、これまでのように先進国の一人勝ち、というものでは成り立ちません。
グローバルサウスの台頭など、今後の国際経済は複雑さを増してきます。こういうときこそ、いわゆるウインウインの関係を構築していく努力が不可欠になっていきます。
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