謝罪すべきかどうか、過去を真摯に見つめる姿勢の上に将来の展望を語るべき

パールハーバーへの安倍首相の訪問がありました。その際に、和解の力を強調したものの謝罪をしなかったことを指摘されています。オバマ米大統領が今年の5月に来日した時も、原爆投下について謝罪はしませんでした。こういった国家による謝罪に関して、私は議論を整理する必要があると思います。まず、謝罪すべきことなのかどうかの過去の事実認識。次に将来世代のことを考えて将来の展望を語るという点です。私見では、将来の展望だけ語って謝罪なければ、収まりが難しいのが当然と思います。

これをゴッチャにしているの典型的なのが橋下徹氏のツイートです。彼はオバマ大統領が広島訪問の際に謝罪しなかったことに対して、次のようなツイート(11:29 – 2016年5月12日)をしています。

https://twitter.com/t_ishin/status/730585562940248064

「今回のオバマ大統領の広島訪問の最大の効果は、今後日本が中国・韓国に対して謝罪をしなくてもよくなること。過去の戦争について謝罪は不要。これをアメリカが示す。朝日や毎日その一派の自称インテリはもう終わり。安倍首相の大勝利だね」

お粗末極まりないコメントです。オバマ大統領が謝罪しなかったのは、アメリカ社会には「あの原爆投下が戦争を早く終わらせるためには必要であった」という認識が根強くあるからでしょう。もちろん私としては、1945年の8月段階で原爆を落とす必要なんかあるとは思いませんし、過度に殺傷を拡大したことに関して謝罪して欲しい気持ちで一杯ですが、アメリカにはそれなりの理由があるから謝罪しなかったわけです。それがなんで「過去の戦争について謝罪は不要。これをアメリカが示す。朝日や毎日その一派の自称インテリはもう終わり。安倍首相の大勝利だね」になるのか?今後とも謝罪が不要な理由は全く不明です。安倍総理の大勝利というのは、いったい何に勝ったんでしょうか?

第二次世界大戦の際に、アメリカは日系人を強制収容しました。これについて、ロナルドレーガン大統領もジョージブッシュ大統領(お父さんの方です)も日系アメリカ人に謝罪しており、アメリカ政府は補償金を支払っています。さらに2012年になってからも、ロサンゼルス郡参事会は、当時の1942年の日系人収容決議を改めて取り下げて「正しいことをするのに遅すぎることはない」とコメントしたとのことです。

要するに、過ちと認識したことはアメリカも謝罪する、ということ。当然だと思います。相手もやっていたからとか、他の国もやっていたからとかではない。非があるのなら、自らの非を認める方がより世界から尊敬される国になるはずです。そのうえで、将来を語るというのが国際社会のあるべき姿だと思います。歴史認識は立場により合意は難しいものの謝罪すべき過去だったのかどうかを、もっともっと胸襟を開いて議論すべきだと思います。ドイツとフランスでは、歴史認識で合意できなかったことは「合意できなかった」と明記して共通の教科書まで作ったとのことです。ここまでくれば凄いことだと思います。将来の展望だけ語って終わらせるなんていうのは、被害を受けた当事者の人達や関係者からしたら気が済むわけがありません。自分がその立場に立てば容易に分かる話です。

橋下氏に関しては、本日さらにこのようなツイートが

https://twitter.com/t_ishin/status/814329853499637760

「安倍首相がアメリカとの間でついに謝罪抜きの和解を完成させた。これは中国・韓国からの謝罪要求を撥ねることにも使える。稲田さんは早速靖国参拝。でも、ケンカの後は『悪かったな、これからはよろしく』でやってきた僕にとって、今回の大演説よりも、双方の悪かったな、の言葉の方が心に響く。」

リーダー二人が謝罪なしでそれなりに収めた、というのは私としては残念です。二人が、広島のこととパールハーバーのことをお互いに謝罪してほしかったと思っています。そのうえで、将来を語って欲しかった。

今回のことで中国や韓国が矛を納めるとは到底思えません。このツイートを見る限り、稲田防衛大臣が早速靖国にいっても問題なし!と言わんばかりですし。そもそも、これってそんなに軽々しいものなんでしょうか?戦争で命を失った人々、そのご家族、子孫の人々がどう思うかは、そんな軽い言葉で語れるのでしょうか?

繰り返しますが、歴史認識は過去に戻れない以上、立場によって解釈が異なるのはやむを得ないでしょう。だからこそ、慎重に時間をかけて行わなければならないし、相手の話に謙虚に耳を傾けなければならない。そしてそのうえで将来の展望を語る、これこそが我々が採るべき当たり前の道だと思います。

村上のりあつ【衆議院】大阪府第1区総支部長
大阪生まれ、大阪育ち。 同志社大学卒業後は主に東京で仕事をし、アメリカのイェール大学では経営学を学びました。 コンサルティング会社、グローバル企業であるロイター通信やフォード自動車等では人事の責任者として経験を積み、長年ビジネススクールの講師も務めております。 グローバルと日本の両方の経験を、是非とも大阪の皆さんとともに国政に活かしたい、その思いでいっぱいです。

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