格差是正にも経済政策としても有効な「人への投資」

フランスやアメリカの大統領選挙、自国ファーストを訴えグローバリズム批判する風潮が蔓延しています。グローバルに人が関与し、モノやカネが行きかう自由貿易は廉価で良い製品やサービスを提供されるいい仕組みであることは明らかです。ただ、そこからもたらされる格差が副作用としてあり、この格差を放置しているのが問題であると以前のブログで書かせていただきました。

http://blogos.com/article/223172/

 

格差放置の政策が問題であるにも関わらず、これをグローバリズムの問題に転嫁し、ひいては偏狭なナショナリズムを煽って自国ファーストを訴える政治は、自国と外国だけでなく、自国内も分断する危険なものだと考えます。格差是正は重要で、様々な取り組みがあります。ここではその中の一つとして、民進党が主張している「人への投資」ということで書かせていただきたいと思います。

 

 

人への投資で格差是正を!

 

人への投資というと一般的に思いつくのは、教育の無償化があります。民主党政権の時に公立高校の授業料を無償化しました。その成果として、経済的理由で高校に行けなくなる子供たちが半減しました。いま自民党は、日本維新の提案を飲んで憲法に教育の無償化を書き込もうとしていますが、これは憲法を、特に9条を変えんがための何が何でもの抱き合わせ策でしかないでしょう。なぜなら教育の無償化は法律を整備すればできる話で、莫大なエネルギーを要する憲法を変えるようなことをしなくても可能なものだからです。やりたければすぐできる、ということなのです。そもそも自民党は、政権当時の民主党が公立高校の授業料を無償化決議しようとしたときに、プラカードをもってバラマキだと叫んで反対していました。憲法改訂をきれいなラップに包むための材料として教育無償化を利用している魂胆は明らかです。

 

それはさておき、人への投資というと、子供たちへの投資、つまり就学や就学前教育に対する援助ということで、投資というよりもむしろ格差是正のための社会保障政策という側面で捉えられます。教育を受けることに関する格差の是正は重要です。経済的に余裕がある家庭の子息は塾などにも通え、勉強環境が整っているために高い教育を受けられる状況にある。貧困層は6人に1人といわれていますが、そうなると子供にも十分な教育を受けさせられない。そのために、親から子へと貧困の連鎖が起こってしまいます。これには手を打たなければなりません。教育機会を高めて、多くの子供たちが複雑化した社会の中で活躍できるように育てていく必要があります。

 

一方で、この「人への投資」は経済政策としても極めて効果的であるとのデータがあります。つまり、社会保障面的な共生という側面に加えて、日本の経済を押し上げる効果があるということなのです。経済が高まらなければ将来にわたっての社会保障の財源は覚束きません。民進党の政策「人への投資」は、経済政策的にも優れているのです。

 

 

人への投資は経済政策でもある(教育投資の効果)

 

民進党の冊子からの引用ですが、次の二つの図を見てください。小学校に上がる前の就学前教育と、高校卒業後の大学、高等専門学校、専門学校、短期大学や大学院などの高等教育に対する助成の効果です。

 

まず、図1にあるように保育サービスを充実させるとGDPの約0.1%の予算がかかりますが、これにより女性の皆さんが働きやすくなって就業率が上がるなど労働生産性も高まり、結果的に経済成長率が上がるということです。GDPの 0.1%が0.23%になって返ってくるということで、2.3倍の経済効果があるというものです。

 

図1

 

次に、図2の高等教育。これは一人当たりの大卒と大学院卒の費用が、勉強した彼らの収入アップによる税収増額効果として返ってくるため、2.4倍の財政効果があるというものです。

 

図2

 

教育を費用対効果で見るのは不謹慎、という批判を受けるかも知れませんが、大切な税金を使うのですから経済的な効果も押さえておく必要はあるはずです。民主党政権時代に実現し経済的理由で高校を辞めなければならない子供を半減させた「公立高校の授業料無償化」はこういった形で更に拡充させる必要があります。

 

これら教育の2.3倍や2.4倍の経済効果に比べて、公共工事では1.2倍、大企業が恩恵を受けやすい法人税減税に至っては0.8倍といわれています。公共工事については、インフラ整備が既に相当進んでいる日本ですからリターンが少ないのは頷けるところです。

 

公共工事や法人税減税などでお金を使うよりも、格差是正という社会保障面に加えて経済的にも効果のある投資として「人への投資」があるということです。