感情を煽って白黒つける分断選挙は勝敗関係なく禍根が残る

フランスの大統領選、決選投票が終わりました。私としては、マクロン氏の勝利に喜んでいます。アメリカのトランプ大統領、イギリスのメイ首相、今回フランスのルペン候補などの過度な自国中心主義の人達が増えるのは世界が共生していくのに大きなマイナスと考えています。だいたい、自国主義の方々がその主張が近いといって称えあっていますが、これはお笑いのようなものではないでしょうか?極端な言い方ですが「あんたたちは嫌いだ!」という主張で一致している、ということで握手しているようなものです。

 

もう25年以上も前になりますが、アメリカの経済が苦しんでいた頃、デトロイトでは貿易摩擦で日本車が壊されたりしていたころです。当時のMIT(マサチューセッツ工科大学)ビジネススクールのディーンで、ノーベル経済学者でもあるレスターサロー教授がある本を監修されました。その本は“Made in America”というタイトルで、そこに非常に興味深いことが書かれていました。

 

  • アメリカは個人の評価に重点を置きすぎてきた。これからはチームワークを重視して、チーム評価に重点を置いていく必要がある
  • アメリカは基礎研究で大きな成果を見出してきたが、これからは日本を見習いもっと現場レベルの製造技術にシフトすべきだ

 

これがどうして興味深いかというと、当時バブルの前兆を謳歌していた日本では、逆のことを言っていたからです。これまで日本企業の評価は集団の評価に重きを置き過ぎである。馴れ合いの言い訳というマイナス面が起こりやすいので、これからは個人の評価にシフトすべきだ。また、研究開発については、もっと基礎研究の方に投資しなければならない、といった具合です。

 

当時の両国では、チームワークは「日本>アメリカ」で、基礎研究では「日本<アメリカ」でしたが、進むべき方向はお互い逆のことを言い合っていた訳です。もちろんゼロイチではなく、それぞれ程度を再考すべきということなのでしょう。自らの立ち位置を考え、よりよくするにはライバルである相手の強みを考え修正していく、というある意味健全なスタンスです。

 

政治の話に戻りますと、世界で起こっている議論は、分断して白か黒かといった話が蔓延しています。アメリカ大統領選挙しかり、フランスの大統領選挙もしかりです。排他と寛容、貧困と富裕層、自由と規制等々。こういった二元論が人心を分断して憎悪を生むことにもなっているのではないでしょうか?

 

そうではなく、この分野はもう少し規制を強めなければならない。ここはもっと自由に動けるようにする、などの議論が必要です。自由と規制でいえば、医療事故が起こるのを防ぐためには医師の研修システムを強化する。一方で、自由診療分野を拡大してそれなりの市場を作り医師の収入改善に繋げるのであれば、医療費の自由化を行ったり高額医療を認めたりするなどです。これらは自由化の副作用、規制の副作用を見ながら行うことなのです。

 

企業の現場や政策立案の現場では、ある程度はそれが行われているとは思うのですが、大きな選挙になるとゼロイチ、白黒の分断が行われる。フランス大統領選の決選投票というのはむしろ白黒をつけるものだし、これはこれで良いシステムだと考えますが、せっかくのシステムなのに分断を煽り、フェイクニュースまで飛び出させるような状況になるのは悲しい限りです。勝敗関係なく禍根を残すでしょう。ゼロイチでない。具体的な詳細を詰める程度の議論の必要性を痛感します。