権利が先!をもっと主張しよう

長期休暇のために転職するって?

今日は3連休の最終日です。みなさんは週末を楽しまれたでしょうか?先日、友達の誕生日会で話していたことなのですが、参加していた看護師さんが近々転職して沖縄に引っ越すとのこと。サーファーである彼女は、サーフィンを最適な環境でやるためにも1カ月くらい長期の休みを取りたかったと。勤務している病院は有給をしっかり取らせてくれるのだが、長期休暇となると難しいとのことだそうです。1カ月とまではいかなくとも、2週間くらいの休みがあればいいのだけれど、1週間でさえも難しいのが現状とか。

ある程度の期間の休みが取れれば、今の病院を辞めることもないのだが、なかなか長期休暇が取れない。もちろん沖縄に転職しても長期の休みは難しいが、沖縄であれば、大好きなサーフィンを最高の環境で楽しむ場所が近くにあるからいい、ということのようです。

ジェネラルスキルとカンパニースペシフィックスキル

彼女の場合は恵まれたケースだと思います。有給休暇はそれなりにフルにとれるような環境であること。そして一番恵まれているのは、非常に転職しやすい職種だったということです。看護師さんのもっているスキルというのはジェネラルスキルです。どういうことかというと、会社を変えたとしても、次の職場ですぐに働けるスキルだということです。

看護師さんのお仕事内容や必要とされる能力が、大阪と沖縄で大きく違うことはありません。もちろん勤務する病院の組織文化や医局の方々のキャラクターなどで働きやすさは微妙に違うかも知れませんが、スキルのミスマッチ度合いが小さいということです。今の職を捨てて次に行きやすい職種だということで、恵まれていたということです。

一般の企業だとどうでしょうか?業界が一緒でも、病院とは違って会社によって手続き方法が違ったりして馴染むまでに相当な時間がかかります。一般的に、会社で働く際には、社内人脈や社内手続きを知っているというのは仕事をするうえで重要です。例えば、プロジェクトを動かす際に、キーマンは誰か?など、役職だけでなく社内力学など知っていなければいけないことが多々あります。それらは転職してしまうと一気になくなる。以前の会社で培った社内人脈や社内手続きに関する知識などは次の会社ではほぼ活かすことはできません。

こういった組織特有のスキルのことを、カンパニースペシフィックスキルといいます。もちろん、ゼロイチ(※)ではありませんが、看護師さんのお仕事を考えると、ジェネラルスキルのウエイトの方がカンパニースペシフィックスキルのそれよりも大きいことが分かると思います。

(※)この「程度の議論」については、次のブログを参照ください。

http://nori-murakami.jp/blog/?p=290

社員よりもまず、会社がまず顧客のことを考えるべき!

話がそれましたが、沖縄に転職する彼女に「それにしてもなんで長期休暇がとれないの?有休をほぼフルに取れるくらいの組織なら長期に休めるでしょ?」と聞いたら「同僚のみんなに迷惑がかかる…という無言のプレッシャーがある」とのことでした。僕は思わず「でたっ!」と言ってしまいました。なんで日本の会社は、働く人にそんな負担をさせるのか?

確かに、有給消化には時季変更権というのが会社側にはあり、一定の要件がそろえば有給の取得日を変えさせることができます。ただこれは繁忙期の休暇は厳しいので他の日に移してくれ、という意味です。長期休暇なんていうものは社員も計画的に取るでしょうから、会社も人員補充の予定が立てやすいはず。社員がそこまで会社のことを考える必要があるのでしょうか?人のやりくりを考えるのは管理職であり会社の責任です。働く人は、権利は権利として主張し、休むべきだと考えます。これも先程のゼロイチの話に関連する同じく「程度の問題」ですが、日本の企業社会はちょっと行き過ぎで「同僚のみんなに迷惑がかかる」とかいった具合に、会社の都合を働く人に押し付け過ぎです。

最悪な場合には「あなたは患者さんのことを考えてないのか?」と怒り出す病院幹部がいるかも知れません。患者さんのことを考えたらなんで自分の権利が行使できないのか?こっちの方がおかしな話です。患者さんのことは、病院の経営層がまず考えなければならないわけです。確かに、医療機関というのは国からの予算の制約で、人員の配置など厳しい予算で行わなければならないという特殊事情があるにせよ、それにしても現場で働く人たちに押し付け過ぎているのではないか?というのが言いたいところです。むしろ医療業界では、国の仕組みが働く人に負担を強いる仕組みになっているということかも知れません。

権利が先!

彼女のように遠くにやりたい趣味があっていくのであればまだいいのですが、少しでも給料が高いところに転職する人に対して「せっかく育てたのに、恩師知らずにも去っていく。近頃の若いのはお金のことしか考えていなくて、すぐに給料の高いところに行く。辞めるとお客さんが迷惑するではないか?」と怒る会社です。

給料が高いところに転職するのは当たり前で、会社だって値段を高く買ってくれる方に売るでしょ?ということです。給料を高く払えない、生産性を高くするように社内プロセスなどを簡素化できないの、これらは会社がダメなからで、その分のコストを社員に押し付けようとするから、人が去っていくだけの話です。また、育てた社員が去ると「恩知らず」というのも変な話で、そもそも会社は、社員への教育投資費用やその後に支払う給料以上のリターンを社員から期待しています。これはまさしく会社は投資効果を考えている訳で、お互い様です。そもそも「恩知らず」などと言い放てる資格はないのです。

自分の経験ですが、私は外国の会社で長年働いていました。外資系企業というのは本当に社員の権利に配慮します。日本社会は「権利が先か?義務が先か?」とよくいいますが、外資系企業の社員は「権利が先!」と認識しています。有給休暇は完全に取得しますし、2週間くらいの休みは年に2度くらいとります。もちろん、その分、雇用のリスクは高いのですが。そのリスクの分、権利意識は非常に高いです。外資系の休暇に関しては、次のブログで紹介しています。

http://nori-murakami.jp/blog/?p=242

「権利が先!」というのは、日本の企業社会は考えないといけない問題です。これを働く人々が主張し、労働組合の皆さんもより一層実行していくことが非常に重要だと考えます。そうすれば、会社が労働条件で競争する社会になり、辞められるよりはましということで、長期休暇ぐらい取れるようになるかも知れません。彼女のケースはジェネラルスキルという点で恵まれていることは確かですが、彼女のような社員が多く出てくることにより日本の企業社会が労働文化的に変わるということに繋がっていくのだと考えます。

村上のりあつ【衆議院】大阪府第1区総支部長
大阪生まれ、大阪育ち。 同志社大学卒業後は主に東京で仕事をし、アメリカのイェール大学では経営学を学びました。 コンサルティング会社、グローバル企業であるロイター通信やフォード自動車等では人事の責任者として経験を積み、長年ビジネススクールの講師も務めております。 グローバルと日本の両方の経験を、是非とも大阪の皆さんとともに国政に活かしたい、その思いでいっぱいです。

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