労働時間を減らし、かつ生産性を上げる秘訣の話をしました…

先日、以前担当したグロービスクラスの受講生の皆さんと飲み会がありました。その際に話題になったのが、働き方改革が叫ばれる中の労働時間。これが割と減ってきたという話をする方がいました。その人は大手情報関連会社の管理職で、月間40時間くらい労働時間が減ってきたとか。ということは週に8時間、一日2時間です。これまでは、だいたい21時や22時くらいまで仕事をしていたのが、20時にはほぼ完全に終わる感じで、部下も1カ月で20時間から30時間くらい労働時間が減ってきているとか。

トップの一声で労働時間が減る?

40時間といえば、定時で働けば1週間分の労働時間。これが減少したというのですから大きい話です。それで「何故そんなことができたのか?」と聞いてみると「社長が全社的に、労働時間を減らすように大号令を出してきた」とのこと。大号令で減るなら誰でも号令しますが、その号令によって「何がどう変わり、労働時間が減ることになったのか?」と問うていくと…(すみません、コンサルティング時代の癖で飲みながらにも関わらず、突っ込んでしまいました)

大きなポイントとしては、過剰品質を吟味して減らす、とのことでした。まず社内文書に関して、見かけの体裁や前段のご挨拶、またはデータの精度など、過剰な部分があるはずだということで減らしたそうです。手前味噌ながら拙著にも書かせてもらいましたが、100点を二つ取るよりも70点を三つ取った方が合計点は210点で高いということ。その範を垂れるために、上の方の管理職から実践したとか。

また外注先に対しても、顧客に対しても、無駄な挨拶や応対をしないように徹底したということです。顧客に対してもやったというのは凄いというか、大手企業だからできるような話ですが、当初は顧客を回って意向を伝えていったとか。この方が顧客にもメリットがあると訴えたそうです。外注先には「過度な訪問や挨拶は控えてくださいと。その労力をより良い製品やサービスを提供する方に向けて欲しい」と依頼したそうです。

労働時間減らしのプレッシャーが仕事の中身を上げる

この労働時間を減らすためのプロセスがまた良かったみたいで、本当に必要なデータは何か?そのデータの精度はどの程度まで必要か?そもそも、分析ならばその目的は何か?仮説を立てて検証するアプローチになっているか?などを改めて考えるきっかけになったそうです。今までは、やや漫然と数字を集めてきて並べて置いたら「よくやった感」があって評価もされた。でも本来の目的に到達してはいなかったということが浮き彫りになってきて、それを是正する動きにつながったとうことのようです。

訪問減らしに関しても、数少ない回数や短い時間での打ち合わせで決定までもっていくにはどうするか?ということを考えるきっかけになったとんことです。我々は追いつめられると、より高見に登ることができるという能力があることは、日本の技術革新を見ても頷けるところです。アメリカの排気ガス規制に関して書いたブログでも触れていますので、ご一読ください。 

モノづくり面に関しては、品質の向上とコストダウンを両立させるほど、お手の物の日本企業ですが、事務企画部門の生産性の低さは以前から指摘されてきました。私のブログで何度も紹介させてもらってますが、次の表を見てください。

費用対効果の重要性

今日の話では、日本の生産性アップには、適正品質を見極めること、そしてそのために必要なものは何かを問うこと、がこの状況を打破するための重要なポイントの一つだといえそうです。

おもてなしや過度かも知れない品質は日本の良さであり美徳でもありますが、ただ、これにも費用対効果というコスト感覚を、鋭く研ぎ澄ませてみていかなければならない!ましてや、その美徳が働く人の過重労働に依存する形でのしわ寄せにはなってはならない、ということ。当たり前の話とはいえ、もっともっと真剣に考えていかなければならないことかと思います。

最後にヤマト運輸さんの労働時間に関連して書かせていただいたブログを二つ挙げてさせてください。まだの方は、併せてご一読ください。

村上のりあつ【衆議院】大阪府第1区総支部長
大阪生まれ、大阪育ち。 同志社大学卒業後は主に東京で仕事をし、アメリカのイェール大学では経営学を学びました。 コンサルティング会社、グローバル企業であるロイター通信やフォード自動車等では人事の責任者として経験を積み、長年ビジネススクールの講師も務めております。 グローバルと日本の両方の経験を、是非とも大阪の皆さんとともに国政に活かしたい、その思いでいっぱいです。

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