「軍事技術は民生転用されるというメリットがある」には非効率で反論

先日、街頭演説をしていたら「軍事費にもっとお金を使う必要がある。日本は核武装すべきだ」とおっしゃる方がいらっしゃいました。「軍事にお金をかけ恐怖を高めていくより、お互い減らして平和技術振興などに使う得策ではないか?」とお話したら「科学技術の発展のためにも、軍事予算を増やすべきだ。軍事技術が民間で活用されることもある」とおっしゃられました。

核武装の話はもちろん、軍事技術の民生転用に関しても疑問に思います。ビジネスの世界で生きてきた私にとって、費用対効果というのは重要な観点です。簡単にいえばコスパ(コストパフォーマンス)のことで、ランチを食べるにしてももちろん高級店に行けば美味しいけれど、そんなにお金はないし、同じ800円をランチに使うにしても美味しい方がいい、要するに出すお金と得られるメリットとのバランスです。

費用対効果というと、お金の話ばかりという批判が出がちなんですが、お金の話だけで物事を決めるのがいけないのはその通りです。しかしながら、世界中の多くの国が財政難で苦しんでいる中、お金の話はやはり重要です。つまり、お金の話はきっちりとポイントとして押さえておき、その上であるべきことは何か?といった風に判断することが必要だと思います。

軍事力の話がいきなりランチになりましたが、軍事的な技術開発が民生利用に結びつくというのは、確かに間違いではないが費用対効果は非常に悪いということです。

GPSのような現代社会の日常に欠かせないツールも元々は軍事技術だった、という話はあります。確かにそうかもしれません。しかし、そもそも軍事技術はビジネスのような費用対効果を顧みず、莫大な予算をかけて技術を開発します。その際、民間への適応なんかは考えていません。ただ、その副産物として出てきたものが、民生技術に転用できることもある、という話なのです。

つまり、たまたま研究してきたことのおこぼれを活用するのが転用です。そんな遠回りなお金の使い方ではなく、同じ予算を使うにしても、現在の技術水準と将来の民生活用をまず第一に考え、どの分野にどのような投資を行ったらいいかを、最初からあたりを付けて予算を傾斜配分する方がはるかに費用対効果良く結果が得られることは明らかでしょう。

例えば、人を殺す生物兵器の研究のお蔭で病気を治す技術がたまたま開発されるより、IPS細胞を廉価で提供できるようにするにはどうするか?という観点に絞って投資を行う方が、同じ予算を使ってやるにしてもずっと効率的ではないでしょうか?ということです。

軍事支出を肯定するために民生転用のメリットを訴える話を聞いた時は、戦争の恐怖とともに、費用対効果で反論すればいいと思います。

村上のりあつ【衆議院】大阪府第1区総支部長
大阪生まれ、大阪育ち。 同志社大学卒業後は主に東京で仕事をし、アメリカのイェール大学では経営学を学びました。 コンサルティング会社、グローバル企業であるロイター通信やフォード自動車等では人事の責任者として経験を積み、長年ビジネススクールの講師も務めております。 グローバルと日本の両方の経験を、是非とも大阪の皆さんとともに国政に活かしたい、その思いでいっぱいです。

「軍事技術は民生転用されるというメリットがある」には非効率で反論” に対して 2 件のコメントがあります

  1. 西澤龍秀 より:

    科学研究は必ずしも結果に繋がらない場合があり、結果としてお金がかかるのでは無いか?
    そのお金を捻出しているはが、米国等では軍事予算がになっているのでは無いか?
    いずれにしろ、国家的な予算を使った研究ならば、研究結果がどういった分野(軍事とか)に使われるのか?を含めて、研究者は予測する必要があると思います。
    で、何が言いたかったか。
    科学技術の発展と相関するのは軍事費といった限られたものでは無く、単なるお金なのであって、その結果得られたものをどのように使うかはお金の提供者にゆだねられているということです。

    1. admin より:

      西澤さん、コメントありがとうございます。
      お金の提供者、つまり納税者の意向が重要ということですね。おっしゃるとおりかと思います。

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