グローバル経済は費用対効果の良い安全保障

トランプ氏の排他主義やイギリスのEU離脱をテーマにいくつか書かせてもらってますが、私はグローバリズムの擁護者です。比較優位という「各国がそれぞれに得意分野で経済活動をして自由貿易で交易すれば、お互いに利益を生む」というリカードが提唱した理論があります。簡単にいえば「餅は餅屋」という日本の言葉で表せます。

一方で、これまでにもブログにも書かせていただいた通り、グローバリズムには格差拡大という副作用が伴います。グローバルに動ける人とそうでない人で差が広がる。しかし、それはグローバリズムの問題ではなく、その格差を放置していることが問題なのです。その副作用に的確に対処すれば大きなメリットが手に入るのです。

経済学的な側面とともに、私がグローバリズムの大きなメリットだと思う点は安全保障面です。

スマホを使っておられる方も多いと思いますが、韓国製や台湾製のものをよく見かけます。しかし、中の部品には日本製のそのシェアが80%を越えるような部品が多く入っている。iPhoneも日本の部品が無ければ作れない。作っても、中国やEUの大市場が無ければ安く売れない等々、世界の経済は密接に絡み合っています。

日本の最大の貿易相手国は中国。中国の最大の貿易相手国はアメリカで、日本は2番目です。日本への旅行者でみると、2016年ではトップが中国で637万人、韓国509万人、台湾417万人、香港184万人、アメリカ124万人などが常連の上位5ヵ国です。観光ビジネスで成長戦略というのは私も賛成です。いろんな国の人々に日本に来てもらい、日本の良さを知ってもらう。貿易でいえば、日本の製品やサービスを使ってもらう。これらこそがグローバリズムがもたらす国際交流なわけです。

もし、日本がこのような国々と戦争しなければならなくなったら、国際社会の経済は大混乱です。日本と中国でいえば、GDPが2位と3位の国がお互いの資産を凍結でもしようものなら世界経済はほぼ壊滅的でしょう。戦争の始まりは第二次世界大戦をみても分かるように、国の経済が危機に瀕した際です。衣食足りて礼節を知る、とはよく言ったものです。そして第二次世界大戦の時は、ブロック経済でした。相手を潰しても自分たちだけで経済はなんとかなる。資源や市場だけ奪えばいい、といった考えです。今の世界のように、グローバルに動いていると、戦争ほど割に合わないもんはありません。メリットがないのです。

もちろん、経済交流だけで安全保障が完璧とは言えないでしょう。しかしながら、経済でのお互いの関わり合いが、ある意味大きな安全保障に繋がっていることは確かです。軍事力というのは、破壊するために使うものですから、工作機械のように再生産を促進はしません。要するに経済的ではない、費用対効果が悪い投資なのです。

ですから、互いに無用な危機感を煽ったり、再生産されない軍事力を誇ったりするよりも、グローバルな経済の関わり合いをベースにし、安全保障はソフトパワーでの外交力に力点を置く方が、それこそ費用対効果が良く経済的で、お互いにいい結果をもたらすはずです。

村上のりあつ【衆議院】大阪府第1区総支部長
大阪生まれ、大阪育ち。 同志社大学卒業後は主に東京で仕事をし、アメリカのイェール大学では経営学を学びました。 コンサルティング会社、グローバル企業であるロイター通信やフォード自動車等では人事の責任者として経験を積み、長年ビジネススクールの講師も務めております。 グローバルと日本の両方の経験を、是非とも大阪の皆さんとともに国政に活かしたい、その思いでいっぱいです。

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